CROSS TALK

鼎談

SPECIAL CROSS TALK 2 /
鼎談 近藤会長×中平 徹也氏×原 明子氏

NEXT100年へのあゆみ
ーESDへ向けてー

ESDをステップに
環境価値創造企業へ

解体屋・産廃屋から環境価値創造企業への生まれ変わりを目指すコンケングループ。さまざまな取り組みを模索、推進するなか、環境学習に携わる2名のスペシャリストと出会い、この上ない援軍を得ることに。コンケングループ内でESDを実践し、環境を整え、確実に力強くあゆみを進めています。
ESD:Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)の略。

写真左から順に

中平 徹也TETSUYA NAKAHIRA

公益財団法人 岡山県環境保全事業団 津山圏域クリーンセンター・リサイクルプラザ所長。
エコ博士。地球温暖化防止、リサイクル、ESDなどを専門分野に講座を開講。2007(平成19)年、学習センター「アスエコ」を立ち上げ、環境学習を推進する。

近藤 義TADASHI KONDO

原 明子MEIKO HARA

ESDコーディネーター。
岡山大学環境理工学部非常勤講師。
2005(平成17)年から10年間、岡山市の専従職員としてESDの推進に携わる。現在はESDについての研修の講師、アドバイザー、サポーターなどして幅広く活躍。

近藤会長

環境価値創造企業に
なるための
学びの場が出会いに

コンケングループは2015(平成27)年から、お客さんに「ここまでリサイクルしてくれているんだ」と感じてもらえる中間処理場にするための取り組みをスタートしました。よそから見て「環境価値創造企業よな」というとこまでいくために一生懸命に活動しようとしていて、ESDを知り、いろいろな担当者が勉強に行きだした。それが中平先生と原先生との出会いになっているんよね。

2017(平成29)年夏に環境学習を中心にしたミーティングを開催しました。その時に藤クリーンの方が、私のグループに入られていて「ESDを中心とした会社づくりとか、環境学習を推進したい」との話をうかがい「わかりました。お手伝いしましょう」となりました。そういう機会をたくさん作っていただき、それに出て行って、何かお手伝いをするのが私の仕事だと思っています。それから、コンケンさんに来たら原さんもいらした。熱い話を聞いて以来、お付き合いをさせてもらっています。

私がコンケンさんと出会ったのは、ESDの研修に、こちらの研究室に勤める農学博士の方が来られていたのがきっかけです。ちょうど私は岡山大学の授業のフィールドを探している時でした。そこで「リサイクルの現場に学生を連れて行って見せたいけど、いいですか?」と尋ねたら、「どうぞ」と言ってくださいました。そこで、まず下見に行かなくてはと、会社のHPを見たら・・・」

代弁していい? 原先生がコンケンのHPを開いたら解体・産廃屋で、びっくりしたんですよね。

紳士的な農学博士から連想していた会社と違っていたので(笑)。学生を連れて行くからには責任があるので、ちゃんと調べて行かなくては、と思いました。翌日、たまたまアスエコの人に会ったので、正直に聞きました。その方は産廃関係だったから詳しくて「あの会社なら大丈夫ですよ」と太鼓判を押してくれました。実際に下見に行ったら、会社の人がものすごくあいさつをしてくださるじゃないですか。それにびっくりしました。そして、見学後に会長の話を聞いて二度びっくりしたんですよね。私が一番、感銘を受けたのは、暴力団との縁を切ったという話でした。

中平 徹也氏

ESDを通じて廃棄物処理が
大事な仕事であることを
再認識

原先生と中平先生に出会わなかったら、環境価値創造企業を目指す取り組みもなかなか進まなかったと思います。社内の会議で「ESDを知っているか」と聞いても誰も知らなかった。そこで原先生にはESDセミナーで、中平先生には子ども向けの看板づくりなどでお世話になっています。本当にありがたい。

会長は「これからはESDだ」「環境学習だ」と直感的にわかっているけど、従業員の人たちには降って湧いたような話。だからESDの意義を全員が納得するように3か月間、毎月1回の研修をしました。

うちらはほんまに後発なんだけど、ESDを知った時にいろいろ調べて一つわかったのは、小学生に「これを壊したらこれとこれになって、こうなる」とほんまの意味で持続可能な社会を勉強させられるのは、われわれの処分施設だということです。だから本気ですれば、何年かして環境価値創造企業と認めてもらえる。ねらいはそこなんですけどね。

こちらでは、ごみを資源とすることで、私たちの生活の中で「捨てる」ではなくて、ちゃんと「リサイクルする」が、持続可能な社会に結び付くことを体現しています。私は世界20カ国を訪問してきましたが、そんなフィールドはめったにないです。国内で公開する所はもっとない。貴重な存在です。

会長は謙虚に「私らは迷惑産業ですから」とおっしゃるけど、私は違うと思いました。必要なことをしてくださっている。自分が捨てたものを誰がどのように処理してくれているかも考えずに、ごみを出し続けている私たちの方が変わらなければならないんです。そのためにはコンケンさん、藤クリーンさんが一緒にやってくれないと知ることができない。だからお願いしました。

原さんがやっているのは、コンケングループをはじめ、産廃業にかかわっている人たちが変わらないといけないことを理解してもらうための研修なんです。持ち込む人の意識を変え、作業をしている人も、誇りをもって仕事ができるように変えていく。コンケンさんや藤クリーンさんに勤めることで、胸を張って「パパの仕事はね」と言える。それには「持続可能な社会」や「環境学習」のことなどもちゃんと知らなければいけない。という経緯で原さんがお勉強会をしているんですよね。

藤クリーンさんの研修で、プラントごとの仕事を一言でいうと何か考えてもらいました。最初は全然アイデアが浮かばなくて、だいぶもめていました。「長すぎます」「それではだめです」と何度もやり直すうちに、運輸の人は「ごみのトラック野郎」、工場の修理さんは「機械のお医者さん」、選別の所は「トレジャーハンター」が出てきました。8時間、流れ作業的にしているかもしれない仕事が社会の中でどういう意味を持っているのか見直してもらい、今後は社会の中で一人ひとりが、誰にでもわかりやすい言葉で魅力的に発信するというところをやっていく予定です。チームで考え、自分で発想することが大切なので、そこを一緒にやれたらいいなと、期待しています。

原 明子氏

地球に役立つ仕事を
していると
誇りを持ってほしい

社会が変わっていくには長い時間がかかります。今のESD的な考えは発達途中なんですね。コンケンさんや藤クリーンさんが、自分たちの役目だと思ってやっていることは小さいかもしれませんけど、そういう小さな本当に真面目な積み重ねが、今住んでいる地球のために役に立っているんだという思いを持ってお仕事をしてほしいですね。そして、何か自分らしさの工夫をしていただけると今の100点から120点にステップアップしていくのではないかと。ただやるのではなく、自分なりに考えて頑張ったら、いつか地球さんからお返しがくるはずです、「ありがとう」って。

私は研修をする中で、全従業員の方とやりとりをさせてもらいながら、ワクワク感があるんですね。だからここに来させていただくのが楽しいです。もっと良くなるように、お手伝いしたいと思うような会社の雰囲気なんです。それってすごくないですか? 前向きで人に対して優しいというか、そういうものがあるような気がするんです。それが私はとても大事だなと。私にできることがあったら、使ってやっていただければなと思っております。

やっていただければなと思っております。
原先生、中平先生のお力添えで、コンケングループが環境価値創造企業として認められるための第一弾として、ビオガーデンや見学コースが完成しました。これに満足することなく、もっと良い方法を模索し、見直し続けていくつもりです。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。